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祖父は私に本やドラマを勧めはしたが、自らの戦争体験について語ることはほとんどなかった。
80過ぎまで歯科医の仕事をつづけた祖父がその話をしてくれたのは、体を悪くして余命いくばくもない状況になってからだ。
病院嫌いの祖父は自身の病を隠していたため、もう治療を施せる段階ではなかった。
痛みを少しでも緩和することができることのすべてで、ベッドで過ごすうちに祖父は変わっていった。
いわゆる認知症というもので、ほとんど今何が起こっているのかわからない状況だった。
献身的に世話をする祖母のこともわからなくなり、祖母はひどく傷ついていた。
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