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それでも私はその祖父の体験談を中心に祖父母たちの戦争の記憶を書き残したいと思う。
自由ではなかったその時代に、懸命に自らの生き方を貫き家族を守ろうとした祖父母たちの話から何かを感じ、息子たちに今ある幸せをかみしめ大切にしてほしいと思うからだ。
祖父の戦争は大学に進学する前から始まる。
病弱な妹を家族に持ち、祖父は頭を悩ませた。
いずれ戦争が激しくなり、自身が戦地に向かう日が来るかもしれない。
もしそこで自分や父が命を落としたとしたら、残された家族はどうやって生きていくのだろうかと不安になったらしい。
戦争に向かうことが避けられないことだとしたら、せめて死なずに帰ってくる方法を考えなければならないと祖父は考えた。
だからといって自らの命を守るために相手の命を奪うことも、祖父にとって考えられないことだった。
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