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作戦前夜から翌日の朝、私は光と共にいつも通り登校をし、何事もなく自分の教室へと入っていく。
「灯子ちゃん、おはよ~!」
「おはよ~みんちゃん、よよこ」
親しくしている友人たちに挨拶を済ませた後、自席に着き荷物を整理する。
そして一通り準備が終わった後、私はある人物に目を向けた。
「おはよう、漆原さん」
「るっしーおはよう!」
教室の窓際で男女4人グループの中に、一人だけ目立つ存在がいる。
艶やかな灰色の長い髪をなびかせ、アーモンド型の瑠璃色の瞳を細めて優雅に談笑を楽しむ一人の美少女。
「おはよう、みんな」
その人物こそ、光が想いを寄せている人物だった。
漆原望海。
身長170㎝、体重は不明。
日本人とドイツ人のハーフであり、その麗人のような顔立ちから所属している演劇部からエース扱いされているほど。
彼女と交流のある友人に聞いたところ、性格は穏やか、頭もよく優雅な立ち振る舞いから周りの生徒や教師たちからは人目置かれているらしい。
「うわっ……よく見たら好きな食べ物や得意なことまで書かれているし。光の奴、本当はストーカーやってるんじゃないの?」
私は光から貰った媒体の資料を見て引いた表情を浮かべた。
好きな食べ物の他に、趣味や持っている資格一覧、おまけに飼っているペットの名前まで記載されている。
ここまでの弟の行為に、姉として彼の将来がとても心配になった。
「てか、あの人堕とすなんてクソゲーをクリアするより難易度高いじゃん!何高望みしてるのよアイツ……!」
改めて考えると、学校で高嶺の花扱いされている少女を手ぶらで堕とすことなんて無茶な話だ。
正直に言って、漆原さんとクラスが一緒になってからは交流ゼロと言っていいほど彼女とまともに話したことがない。
こんな人を光に偽るというオプション付きでどう攻略したらいいのか分からなかった。
「うわあああ私の馬鹿!!何で優待券の欲に負けたんだろう!!」
媒体を両手でぐしゃりと握り潰し、後悔の念を抱きながら机にうつ伏せる。
そんな私を遠くから漆原さんが見つめていたことに、この時私は全く知らなかった。
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