シンデレラの真実

4/10
前へ
/10ページ
次へ
*** そうだ。あのときに似ている。 急に一人取り残され、冷たい風が吹き、鳥肌が立った。 ねえ、あの家に戻るの、シンデレラ?__いえ、エラ。 もうひとりの自分が、彼女に問いかける。 __あの寒い孤独な部屋で、このまま一生を終えるの? __そんなの嫌よ。もう戻りたくないわ。 __じゃあ進むのよ、エラ。そのままだと死んでしまう。 「そうね、行くしか無いわ」 彼女は決心して歩き出した。 生ぬるい地面の感触が気持ち悪い。 木が、急に大声で叫びだす。 彼女は、どこまで続くか分からない道を、永遠と歩いた。 小鳥のさえずりがだんだん大きくなっていき、道が余計に荒れてくる。 木の枝が足に刺さり、どこが痛いのかも分からなくなってくる。 どこに向かっているのかも分からない。 それでも彼女は、何かを期待して歩き続けた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加