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そうだ。あのときに似ている。
急に一人取り残され、冷たい風が吹き、鳥肌が立った。
ねえ、あの家に戻るの、シンデレラ?__いえ、エラ。
もうひとりの自分が、彼女に問いかける。
__あの寒い孤独な部屋で、このまま一生を終えるの?
__そんなの嫌よ。もう戻りたくないわ。
__じゃあ進むのよ、エラ。そのままだと死んでしまう。
「そうね、行くしか無いわ」
彼女は決心して歩き出した。
生ぬるい地面の感触が気持ち悪い。
木が、急に大声で叫びだす。
彼女は、どこまで続くか分からない道を、永遠と歩いた。
小鳥のさえずりがだんだん大きくなっていき、道が余計に荒れてくる。
木の枝が足に刺さり、どこが痛いのかも分からなくなってくる。
どこに向かっているのかも分からない。
それでも彼女は、何かを期待して歩き続けた。
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