糸を断ち切って

1/2
前へ
/2ページ
次へ
私は笑顔が苦手だ。 面白くない現状で強要され、敵意が無いことを伝えるために強いられる。 否。 私が笑顔を苦手とする理由は、そんな重い内容ではない。 ただ、上手く笑えないからだ。 口角を上げようとすれば口の端がプルプルと震え、だんだんと下がっていく。目を細めれば目頭に力が入り、目つきが悪くなる。 そんな単純な理由だ。 周りは自然とやってのけるその仕草が私には出来ない。写真を撮る時も、人と会話をする時もずっと無表情のままだ。 そうしていれば、私に近づいてくる人もいなくなっていった。 つまらない、悲しくなる。そんな言葉を吐かれては一人になっていく。一番心に刺さったのは「機械と会話をしているようだ」と言われた時だった。 楽しいと思っていても、なかなか表情に出すことが出来ず、ついにはそんな事を言われてしまった。 いつも無表情でいるけれど、感情まで無になっているわけでは無いので普通に傷ついた。 だから、高校に入学するタイミングで自分自身を変えようと決意した。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加