03.dependence

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「っ・・・あれ?」 「大丈夫!? 愛奈ちゃん?」 転ぶっ、そう思ったのに、やってきたのは痛みではなくて、前に倒れると思った体は何故か背中から後ろに倒れていた。 次に目を開けたらソファの上にいて、背中にソファではない何かが私を支えていた。お腹に回った大きな両手を辿っていけば、私は転びそうになった瞬間、ケイジに引っ張られ抱きかかえられた。ということを眠気でぼうっとする頭でもに理解した。 その身体は思いの外暖かくて気持ちがいい。そう思ってしまったらその腕から離れるのが惜しく感じてその腕を掴んだ。 「愛奈ちゃん?」 「ケイジ、あったかいね。」 「え、愛奈ちゃん・・・?」 「・・・きもちいい。」 戸惑ったような声が頭上から聞こえる。 私はその声よりも、当たる肩口に頬擦りすればふわりと香る爽やかなブルーオーシャンの匂いが体温を混じって癖になりそうになっていて、ふわふわとする頭が自然と瞼を下していき、私の意識はそこでプツリと途切れた。 -+--------------------+- ・・・ここはどこだろう。 はっきりとしない頭に、重い体。瞼を押し上げるように開けば、そこは懐かしい場所。 ・・・ここは、中学校? ドクンと嫌な音を立てる心臓に、竦む足を必死に動かして2年E組の教室に足を踏み入れる。その瞬間、私を好機の目で見てくるクラスメイト達に訳も分からず眩暈が襲った。 なにがどうなっているのかわからずに自分の席に座って周りを見渡す。私を見ているその視線たちが【好い目】であることは無い。それだけは間違いなかった。 席を立って、仲のいい友達に話しをかけたけれど、曖昧に返事するだけでそのまま何処かに行ってしまった。ほかの子に目を合わせても、直ぐに逸らされて嫌な汗が流れた。 するとクラスメイトで、所謂スクールカーストと呼ばれる別段仲のいいわけでもない、ほとんど話したこともない女子が突然私の前に現れて私になにを言うでもなく腕を思い切り引かれて連れていかれる。 『ちょっと、どこ行くの?』 私が問いかけてもなんの反応も示すことなく、ただひたすら廊下を歩かされる。 ほかのクラスの人達も男女関係なく私を変な目で見てくるのを、私は俯いて転ばないようにその子についていくしか無かった。 連れてこられたのは女子トイレで、そこには連れてきた子以外に、3人集まっていて、そして、私が入ってくるのを見るなり私を囲んできた。 そして、私を連れてきた子が3人のうちの一人からコピー用紙を受け取ると、それを私の前に掲げて見せてきた。 『これ、あんたなんだって?』
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