01.getting mixed up in.

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意識が暗闇から浮上する。 「・・・・んん、」 ゆっくりと目を開けた先に広がったのは白い天井。滲む視界が何度目かの瞬きの後クリアになって、その全貌が明らかになる。 感覚の鈍い体には力が入らず、顔だけを動かしてあたりを見渡せば個室の病室に、左側には大きな窓に薄いレースカーテンがかかっていて、枕元にはなんの薬品が入っているのか点滴がぶら下がって私の腕に管が伸びている。 薬品のような、だけれど何か独特な匂いのある空間に、ああ、ここは病院なんだなと理解するのにさほど難しさはなかった。 今の状況が上手く理解することができずに茫然としていれば、がらっと部屋の入口である引き戸がスライドされて、素晴らしく整った顔の男性が部屋に入ってきた。 そして、私の顔を見るなり驚いたような顔をしていた。 「一ノ瀬さん!? 目を覚ましたんですね!?」 「ぇ・・・」 物凄い勢いで掛けられた言葉に、喉を震わせて声を出そうとしたけれど、掠れて声という声にならなかった。それどころか喉が渇きすぎていてイガイガするから不快で顔を顰める。 「あの、大丈夫ですか?」 「・・えっと、大丈夫って何がですか?」 絞り出すように出した言葉は掠れて、まるで老婆のようで内心凄く驚いた。 「ここに運び込まれたときのこと覚えてませんか?」 「・・運び?」 「あ、そんなことよりとりあえず人呼んできますね!」 凄く整った綺麗な顔のイケメンの勢いに圧倒されて、嵐のように病室の外に出ていく彼を見送り、再び一人になった私はとりあえず飲み物が欲しいと思い上半身を起こそうと体に力を入れた。 「い”った!?」 起き上がろうとした途端、右腹部に激痛が走り自分のものとは思えないような声が上がった。 なにこれ、なにこれなにこれ!? めっちゃ痛いんですけど!! 呼吸が止まりそうなくらい痛んだ腹部に冷や汗が出てくる。 震える手を必死に動かして恐る恐る布団を剝ぎ取って服をめくり、右腹部を覗き込めば、大きなガーゼが右腹部を覆っていて、なんでこんなことになっているのかと思いを巡らせる。 それにしてもあの男の人は誰なのだろうか。恐ろしいほどのイケメンとはああいう顔のことをいうのだろう。 そう考えていれば、心中のなかのそのイケメンが再び部屋に戻ってきた。 「ああ、体起こしたいですよね。 少し失礼しますね。」 「え、あ、え?・・ちょ、」 戸惑う私を他所に、彼は私の枕の横に手をついて、頭の上の柵にかけられていたリモコンのボタンを押した。するとベッドが自動的に上半身を起こすように持ち上がり、彼は私がずり落ちないように背中に手を回して支えた。
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