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「まあっ!ちょっと、あの二人イイ感じじゃないの!」
右側に見える草原で、明らかに冒険不足の青年と、その後ろで怯えている少女を発見する。
手を筒の形にして『ズームアイ!』と叫び、お二人がどんな雰囲気なのか再確認。
「なになに?あの青年、ゴブリンちゃんと戦うつもりなのねー。あんなへっぴり腰でよくやるわ。ここで勝ててこそ、少女はときめくものだけど……はあ、駄目だ。青年、レベル3で竹刀って、ゴブリンちゃんなめてんの?スライムでもギリギリよ。少女がお花摘みに夢中になってゴブリンちゃんの縄張りに入って、助けてもらおうという設定?少女よ、それを私の世界ではあざといというんだぜ」
盛大な独り言で気分を盛り上げ、私は草原に降臨してみた。一触即発だったみたいで、私のことはお構い無し。残念ーっ!
「はーい、どけてどけてー」
私は、そこら辺にある木の棒を手にとって、指揮棒のように振り上げた。
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