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「この青年、どうにかしてくれる?」
私が青年を親指で指すと、常に笑みを浮かべているゼノの表情が真顔になった。その顔は、周囲を黙らせるほどの冷酷さだ。
「この、青年が、何か?」
一語一語丁寧に話すゼノは私でもゾクッとするレベル。元はといえば私に原因があるんだけど、私はしれっと青年のせいにした。
「あー、うん、もう大丈夫だよね?そうだよね、青年っ?」
青年も少女も反応がない。この世界では、レベルごとにオーラの色が違う。差がありすぎると日常会話すら難しいらしい。(MAX99の世界で私はOVER、オーラはレインボー)
私みたいに身分隠しの指輪【効果:近くの人と同等のレベルになる】を身に着けたり、レベル調整スキル【効果:一時的にレベルを変化させる】を使えば問題ないんだけど、ゼノが今、怒りで調整を忘れているレベルだと、レベル50以上なら会話ができる。ゴブリンちゃんなんて、ゼノと目を合わせて瀕死。
「僕の、知らない、ところで、この青年が、ツツジに、不快なことを、しましたか?」
棘のある言いかたで追い込んでいくから、二人、完全にビビってるじゃん。
あー、残念。この場を収めるにはあれしかない。今回はここまでだ。
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