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「ゼノー。帰ろー」
威圧スキルを発動したせいで王子たちもやって来そうだし、この青年の未来が危うい。
そこまで青年に思い入れはないけれど。達者でな、青年。
「ツツジ、いいの?僕の力だったらこんなと」
「シー!」
私は従属スキル【あなたに惚れている人を思い通りに】を発動し、ゼノを黙らせる。
「帰ろ?帰らないと指輪外すよ?レベル調整スキルも使わないから、会話できなくなっちゃうけど?」
ゼノのレベルで会話できないのなら、王子たちは私と目を合わせるだけで燃え尽きるかも。
「はあ、わかりましたっ!」
国と契約したゼノには選択肢がない。シュンとした弱気のゼノにキュンとしながら、私は魔法の絨毯を呼び寄せた。
「乗る?」
「いいえ?乗りません」
普段通りの笑みを見せたゼノに、私は苦笑い。
「今回はここまでにしてあげるけど、次はもっと遠くに行くからね!」
「はいはい、必ず見つけます」
まだ怒りが収まらないらしく丁寧語。ゼノは空気に馴染んで消えてった。
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