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「はいいっ?」
「やだー純粋っ。やあアンナ。もう性別決めたのー?」
ゼノの胸の中でイチャイチャする私を、彼女はどのように見たのだろう。
「いいえ、ゼノ様!まだですっ!まだなんですっ!この女が勝手に着飾ったんです!」
あー。やっちゃった。ゼノは私を卑下する相手が大嫌い。
「訂正、しなさい」
抑揚のない言葉。穏やかな表情のうちに、挽回するんだ!
彼女は私をキッと睨み、すぐに体制を整えた。
「はいっ、ゼノ様、申し訳ございませんっ!」
彼女は膝づくと、涙を落としながら懇願する。
「この度、私の性別をゼノ様に決めていただきたく、こちらのキャラバンに自らを商品として売り込んだ次第です。お側に置いていただきたいのです」
「え?あのみすぼらしい姿は、演技?」
はあー、と呆れたゼノは、同情する目で私を見た。
「純粋にもほどがあるよ、ツツジ。僕たちがこんな弱々しい相手に捕まることなんてありえないから」
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