第3条 覆面  1項 きっかけ

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第3条 覆面  1項 きっかけ

「デ、デ、デ、デ、デ、デ、デ、デ。」 「デ、デ、デ、デ、デ、デ、デ、デ。」 "ミッションインポッシブル"のテーマを 歌う大智と共に軽快な足取りで ある場所へ向かう2人。 「デレレ〜〜。デレレ〜〜デレレ〜〜。」 その大智の歌に合わせるように あきやも小さく口ずさむ。 「デレン!!」 曲の最後のキレに合わせてノリノリで ポーズを決める2人。 まるで不可能なミッションに挑むようなノリで 進むその格好は あきやはふなっし〜、 大智はくまもんの着ぐるみを着て 両手には抱えるように巧妙に出来た 電動式のエアーガン。 背中にはリュックを背負う。 「いや〜しかしあきや。よくこんな着ぐるみあったな〜。」 くまもんの大智がいつものリズミカルな 跳ねるような感じで、 ふなっし〜あきやに問う。 「まぁ、俺の姉ちゃん。こういうイベント関係で働いてるからさ。不要になった着ぐるみとか、 たまに回ってくるんよ。」 そんな、ゆるいキャラクターの2人が 抜き足、差足である建物へ近づく。 「いや〜、目の前にするとちょっと圧巻というか。」 建物に近づくにつれて音楽に乗って楽しんでいた 大智の跳ねも止まり、 2人の緊張は高まってくる。 「何だ〜珍しいな〜大智。緊張してるんか?」 「いやいや、そんな訳ないっしょ〜。言っとくけど俺、手汗かいた事一回もないからね。」 「それ凄いん?(笑)」 2人の目の前にそびえ立つ大きなビルの下に入った テナントに掲げられている看板に書かれた文字。 それは・・・十七城銀行。 そう、2人がやるミッションとは、 銀行強盗!! 「なぁ、大智。ホントに大丈夫なのか〜?」 あきやの家できぐるみに着替えている時、 これまでとは比べ物にならない犯罪行為を 前にあきやは不安で大智に問いかける。 「ああ。大丈夫だって。」 あきやが知りたかったのはホントに法律が 変わっているのかという信憑性。 「この前言ってた総理の演説ってやつ?俺、記憶にないんだけど、どんなんだったん?」 もちろん大智の言葉を疑っているわけではない。 何より、この世界の変化は実感はしていた。 ただ、自分の目で見えいない為、 やはり実感がわかない。 今回はあからさまに分かりやすい目につく犯罪。 リスクがデカいだけに確認はしておきたかった。 「おい〜さすがあきやだな〜。確かに総理の演説自体は見逃してもおかしくないないけどよ(笑)連日ワイドショーとかネットで取り上げられてたじゃんよ〜。」 大智がおもむろにスマホを取り出し、 Googleの検索エンジンで『総理 TVジャック』 と、検索する。
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