第3条 覆面  1項 きっかけ

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そう。それは3週間前・・・。 5月16日午後19時23分・・・。 家庭、食堂、オフィス、都会の大型スクリーンテレビ。 多くの国民がテレビをみる時間。 ワイワイ家族で団欒。 食堂、オフィスでの束の間の情報収集、 都会の多くの人が行き交う交差点の賑やかし。 それらを全て遮断するように 突如テレビに砂嵐が走った。 ザーー・・・ 「あれ?」 ある人は壊れたかと思い、テレビを叩き、 「おかしいな。」 ある人は、チャンネルを変えてみる。 しかし、全ての番組が砂嵐に見舞われている。 「ん?」 急な異変に多くの人が砂嵐に目を奪われる。 するとその空白の時間はすぐ終わり、 砂嵐の晴れた映像に映し出されたのは 日本国民がほぼしっている顔だった。 第96代内閣総理大臣  長瀬 将輝。 いつもと変わらぬ優しい面持ち。 その中にも総理大臣という威厳を感じられる風格。 しかし、国会で責任の是非などを問われている 時でも堂々とたち振る舞っていた表情とは 一変して 口をへの字に曲げ、一目で分かるほど 困惑と苦悩に満ちていた。 総理はその表情を保ったまま それでも一国の総理らしく視線は落とさず しばらく沈黙をした後に一言だけ発した。 「本日、只今より!日本国憲法全てのルールを、、、逆にする!!」 そう言うと、霧が晴れたかのように 画像は切り替わり、 テレビは元の賑わいを取り戻した。 電波ジャック。 ものの3分も満たないその放送。 テレビ局には一斉に電話が殺到した。 それは苦情というよりも困惑のようなものだった。 映像の意図、意味が理解できず しかし、それはどのテレビ局も同じだ。 どこの局にも流した者はいない。 テレビ局もこぞって議事堂、内閣府、 総理大臣官邸へ問い合わせた。 内閣府・・・ 急な出来事に慌ただしく対応をする。 「どうだ?総理と連絡は取れたか?」 「駄目です!官邸、携帯電話全て連絡が取れません!」 「何て、事だ・・・。」 内閣府でも事の真相がつかめず焦っていた。 そう、全てが総理の独断。 しかし、その総理とは連絡が取れず、 どこにいるのかすら掴めない。 そんなとき、内閣府副大臣の携帯が鳴る。 わからない連絡先からの連絡だ。 大臣は不審がりながらも電話を取る。 「、、、もしもし、、、、総理!?」 それは総理大臣からのものだった。 「、、、はい、、、え?、、、ホントですか!?」 非常に短い連絡。 しかし、副大臣はその連絡を受けると 青ざめた表情で発した。 「、、、総理は、、、ご無事だ。」 総理の生存の確認。 それと同時に知った事実に副大臣は 事の重大さを理解する。 「これより全ての関連する事柄を極秘とし 早急に大臣を集め、閣議決定、そして、臨時国会を開く。」 憲法はこと一人の権限だけでは変える事は出来ない。 それは総理大臣であっても例外ではなく 段階をふまなくては憲法を変える事はできない。 「事は急を要す!!これは、、、総理のご意思だ!!」 そこで何が話合われたのか分からない。 8時間に渡る会議。そこで決定されてのが 「日本国憲法並びに、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法の一時的無効。」 それは臨時で開かれた国会でも可決をされ、 法律は無くなった。 しかし、そうは言われてもよく分からない。 具体的に何が変わったのか分からず 普段と変わらず平穏な暮らしを続ける国民。 そして、 その変化を知る事になる事件が すぐに訪れ、 国民は理解する事になる。
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