2項 やってみたかった

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プルルルル・・・・・・ 室内の電話が慌ただしく鳴る。 見ると、いたるところ全ての電話が ひっきりなしに鳴り続いている。 ここはあきやたちの住む犬丘市の警察署。 出払っているのか、明らかに電話の台数と 警察官の人数が足りていないようで 対応している横でまた別の電話が鳴る。 その電話の1つを1人の女性警察官が取った。 「これでよし!っと。」 大智が銀行の職員をしっかりロープで縛り上げる。 目にはアイマスクをつけるの念のいれようだ。 「終わったか?」 いち早くお客の方を縛り上げていたあきやが 金庫の金もカウンターの上へ山のように 並べ終える。 あきや達の計画はこうだった。 銀行に侵入→お金を用意させる→縛り上げて目隠しをする→そして逃走 なぜなら、これからお金を持って逃走するのに ふなっし~とくまモンでは目立ちすぎる。 何より走りにくい。 着ぐるみを着たのは自分たちの背格好を 分からなくして、犯人の特定をさせないため。 ロープとアイマスクを入れていたリュックに お金を入れて、着ぐるみを脱ぐ。 もちろん、脱いでいる姿がバレないよう 防犯カメラは破壊済みだ。 「おい!大智!この金見ろよ!これ賭けボーリングで何回分よ?」 あきやはリュックにお金を入れながら お札の束に興奮する。 【賭博罪】     人が支配できない偶然に関して、財物又は     金品をかける賭博をしてはいけない。     五十万円以下の罰金又は科料。     一時的な娯楽に供するものをかける場合や     相方にリスクや負担がなければ成り立たな     い。     常習性を認められた場合     三年以下の懲役。 「そうだな〜。あきやの持ってる束1つで100万 だから、ピン300で(1ピン300円)だいたい 3300本位?それが何束あるんだ?(笑)」 大智も興奮してお金の山に歩み寄る。 「ちなみに100万円はわかりやすく言うと、  ガリガリ君2万本くらいだぜ?」 「それわかりやすいんか!?」 あきやが100万円の札束で大智の言葉にツッコむ ように空を叩く。 「1、2、3、、、あ〜!!もう数えきれねぇ!  俺は何本ガリガリ君を食えばいいのか!?」 「いや、お前確かにガリガリ君好きだけども!  ぜってぇ腹壊すから!」 2人はテンションが上がって楽しくなってきて、 札束の前で雑談を始める。 「しかし実際、これっていくら位ある?」 「そうだな〜。大体ここいらだけで50〜60束だか ら。5000万〜6000万ってとこ?」 「6000万!一生あそんで暮らせるじゃん!」 「まぁ、人の生涯にかかるお金は大体2億円らしい から。4分の1は遊べる計算だな。」 「マジか!だったら4億盗もうぜ!まだまだ金は あるんだしよ!」 そう言い、あきやが金庫の奥へ進もうとしたその時だった。 プルルルル・・・ 今まで静かだった電話の音が1つ、突然鳴り響いた。 「!!?」 あきやと大智は同時に顔を見合わせる。 「どうする?出ないと不審になる。」 今まで散々騒いでいたのに受話器も取る前に 何故か小声になり、相談をする。 電話が切れる前に結果を急ぐ2人は 銀行の職員の中から1人、女性の従業員を 「こい!」 と、乱暴に立ち上がらせ、目隠しで前が見えていない職員を強引に押していき、 「いつも通り電話に出ろ!」 と、命令をする。 職員は「は、はい」と、オドオドしながら返事をし 手が縛られている為、あきやが受話器を取り 耳元に当てる。 受話器を耳元にした職員はゴクリと気持ちを整える ようにツバを飲み、 いつも通りの平然を装うように言った。 「お電話ありがとうございまいます!十七城銀行  犬丘支店でございます。」 すると、あきやたちが耳を済ませる受話器の向こう側から聞こえてきたのは思いもよらぬ主からだった。 「もしもし、こちら犬丘警察刑事課、特務係りの林と言います。」 「!!」 受話器から聞こえてきた『警察』の言葉に2人は驚愕する。 すぐさま大智が受話器の口を塞ぐと あきやが銃を手に大声を上げた。 「おい!誰だ!警察に連絡した奴は!!」 その声に職員と客が怯える。 しっかり管理をしたと思っていた人の動き。 この内部から漏れたのか、 それとも銀行へ来店しようとした人が異変に気づいたのか。 「クソが!」 その分からない密告者の正体に悪態をつくあきや。 すると、それを察したかのように受話器から 言葉が流れてくる。 「犯人はそこに居るわね。犯人に替わって頂戴。」 "犯人"。その言葉は警察が偶然銀行へ電話してきたのではなく、状況を理解して意図して連絡 してきたことを物語っていた。 さらに・・・ 「あきや!警察に囲まれてる!」 大智が銀行の入口から外を確認すると そこには盾を構えた機動隊の職員が2名配置されている。 その横には深刻な面持ちで携帯電話をかける 女性警察官。 そういえば、この電話口の警察官も女性だった。 「くそっ!」 警察が駆けつけもう、逃げ出す事も出来ない。 この時点であきや達の罪は『立てこもり』 となった。 【逮捕・監禁罪】     不法に人を逮捕(縛り上げ)し、監禁して     はいけない。     3年以上、7年以下の懲役。     
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