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確かな友情
次の日も、その次の日も、エマはルルと一緒にキースのもとへと向かった。キースはいつも笑顔で2人を迎えてくれる。彼はエマとルルと喋ったり真剣に絵を描いたりしている。キースにとっては大変かもしれないとエマは思った。
私、邪魔じゃないかしらとエマは聞いたことがある。エマとルルのおかげでとても楽しく絵が描けるんでございますよとキースは答える。
エマはキースが真剣に描いている顔を見つめたり、せわしなく動く手元をみていたりして過ごす。たまにメイドにサンドイッチを作ってもらって、エマはキースとルルと3人でピクニックをした。
もらって良いんですか?とキースは戸惑っていたが、エマは優しく頷く。3人は仲良くサンドイッチを食べ、絵について語ったり、いろんな花について話したりした。
キースは花が好きなようだ。エマは彼が今までに描いた絵も見せてもらった。花が描かれていることが多く、とても綺麗だ。
「花には癒されます。いろんな形や色があってとても楽しいです。花言葉というものも面白いですよ。花にいろんな意味がつけられているんです。」
キースはブランカフロロの花びらをつんつんと優しくつつきながら話してくれる。
「花にいろんな言葉がついているのね!ブランカフロロは希望の花とよばれているけど、花言葉も希望なのかしら。」
「ブランカフロロはまだ数年前にここに咲いて見つかったばかりだから、まだ花言葉がないんだ。いろいろ研究されている途中みたいだよ。僕たちでも花言葉考えて決めちゃおうよ!」
ルルが言った。
「それは良い考えですね!何にしましょう。」
キースはうーんとあごに手を当てて考える。
「そうねぇ…『輝くキズナ』なんてどうかしら!」
エマが嬉しそうに言った。
「おぉ、それはなぜに?」
キースがエマに問う。
「太陽に当たって白い花びらが輝いてみえるでしょ、夜もほんのり光るでしょ、そこから輝くって考えたの。それからこの辺りいっぱい咲いていて、花の仲間がいっぱいいるでしょ、キズナで繋がって咲いているみたいねって思って…どうかな。」
エマは2人を交互にみた。
「良い観察眼です!言われてみれば仲間で咲いています!」
「うんピッタリだ!僕たちが仲良くなったのもこの花のおかげみたいなところもあるし!3人のキズナって考えてもステキだなぁ!」
ルルがはしゃいで言った。
「決まりですね!今日からブランカフロロの花言葉は『輝くキズナ』です!」
ブランカフロロはお礼をいうように柔らかく揺れている。
キースは甘いものが好きなことも分かった。キースはよく旅先で甘いスイーツを食べたり、食べたお菓子の絵を描いて記録をのこしたりしていた。
とても細かい部分まで描かれていて、色づかいに工夫がされていた。
「甘さによって色の濃さを変えているんです。このレモンケーキは爽やかな味わいで甘さも控えめだったので柔らかい色づかいをしています。こちらのチョコレートケーキはかなり甘かったです。ほら、鮮やかに、濃く描いているでしょう?」
キースがいろんなお菓子の絵を見せながら話してくれる。
「美味しそう…」
エマとルルは何度もヨダレをたらしそうになったのだった。
エマは彼のことを知れば知るほど嬉しく思う。なんだか胸にあつい気持ちがあるような変な感覚、夜寝る前、彼に早く会いたいなと、ウズウズすることもある。
ルルはエマの変化に気づいていた。きっとエマはキースのことが…ルルはエマのことを応援したいと思うようになっていった。
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