確かな友情

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「完成しましたよ!」 ある日キースは完成した絵をエマとルルにみせた。エマがキースと出会った時から描いていたブランカフロロの絵が完成したのだ。青空の下、緑色の丘にたくさん咲いている白い花、遠くに見える町…かなり細かく描かれている。 「とってもステキ!」 エマはぴょんぴょんと跳ねた。全身でステキだと表現したかったのだ。 「僕この絵もお気に入りだなぁ!」 ルルはキースのまわりをくるりと嬉しそうにまわる。 「ありがとうございます。照れちゃいます、こんなに褒められたのは初めてでごさいまして…うぅ涙が…」 キースは涙ぐんでしまった。エマとルルは少し慌てた。 「あぁすみません、嬉し涙です。」 にこりとキースは言った。 その時エマは気づいた。キースはあちこち旅しながら絵を描いていると言っていた。描き終わったということはもう旅立ってしまうのだろうか… 「どうしましたエマ?」 キースが心配そうに言った。 「行っちゃうの?絵が完成したから…」 「あぁそうか…」 キースも気がついたようだ。ルルもうつむいてしまった。 「荷物はもう準備してあるんです。そろそろ完成すると分かっていたので…宿代もかかるので、明日には旅立つかと…旅にでる前にエマに挨拶にきますね。あそこの大きなお家ですか?」 キースは丘から少し見える家を指差した。 「そう、私のお家よ。いつでもきていいわ!お母さんには言っておくから!」 キースはうなずいて、ブランカフロロの絵をエマに手渡した。 「これはエマとルルにどうぞです。1枚しかないので申し訳ありませんが…」 「え!もらっちゃって大丈夫?これはきっと高く売れるよ!」 ルルがびっくりして言った。 「値段なんて関係ないですよ。これは仲良くしてくださった感謝の印です。この丘には絵だけでないステキな思い出がたくさんできました。エマとルルのおかげです。もらってほしいのです。」 エマは絵を受け取ると大事そうに抱えた。 「ありがとう。」 エマとルルはお礼を言ってキースと握手を交わした。 「またこの丘を訪れます。また会ってくださいますか?」 「会う!」 エマとルルは真剣な顔をして言った。 「嬉しいです。…では夕方になるまでおしゃべりでもしますか?」 キースが提案するとエマもルルもぱっと顔を輝かせてうなずいた。
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