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「結婚式、いいわよね、やっぱり」
友人たちと写真を撮っている花嫁をうっとり眺めながら明子が言う。
結婚を急かされている気がしたのか、吉行は苦笑いしていたが、明子は衣茉たちの結婚式の思い出を語り出す。
「あれはひどかったわ……」
「そうでしたっけね?」
「初めて見たわ。
事あるごとにメモをとろうとしたり、小説の参考にと、あちこち写真を撮ってくれと友人たちに頼む花嫁」
いや、ドレスも打ち掛けも素敵だったけどね、と一応、明子は付け足してくるが。
「いや、だって、自分が新婦になる機会なんて、一度しかないのに、ここで見たこと、感じたことをメモしない手はないじゃないですか」
秋馬に頼もうにも、へべれけで、
「衣茉をよろしくお願いいたしますっ」
と八尋の親戚や、何故か衣茉の親戚の手まで握って歩いていたので無理だった。
もはや、実の兄弟より、兄弟っぽい。
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