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「ユーディット!」
涙に濡れた彼女の顔。ベルンハルトを見て、今にも泣きそうな、それでいて、安心したような表情だった。
「ベルンハルトさま……」
ベルンハルトもまた、ひどく泣きそうになった。
ユーディットはベルンハルトを責めた。初めて、激昂した姿を見せた。自分はやっぱり彼女を泣かせてしまって、これ以上ない罪悪感を抱いたけれど、同時にベルンハルトは嬉しかった。ようやく、彼女の心の声を聴けた気がしたから。
言いたいことがあるなら、もっとどんどん言ってほしい。我儘にねだってほしい。これからずっと一緒に歩いていくのだから。
「――あなたを、愛します」
許してくれた彼女を必ず幸せにしよう。もう泣かせたりなんかしない。大切で、愛おしい人。ベルンハルトの愛する人だ。
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