◇02. お隣さんの、ハグ。

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「結愛ちゃんは……笑っているほうが合っているよ。うん。すっごく可愛い」可愛い……可愛い可愛い……魔法のフレーズが脳内でエンドレスリピートする。ワラッテイルホウガアッテイルヨ……これ確か、どっかの恋愛青春小説で出てきたネタだ……一度は言われてみたいと思っていたんだよねえ……。  ああ。脳みそがシェイクされそう。この男といると心臓が持たない。かつ。 「じゃあ、五分経ったらお料理運びに行くね」――青年は。わたしが帰るすこし前のタイミングから料理を作り始め、わたしが帰ると彼の部屋のインターホンを鳴らし、ふたりで、わたしの部屋で夕飯を食べる、それがルール。「じゃあ、お部屋でお待ちください……お姫様」  これでデコにキスとかされたら完璧なのに。……いやいやわたしはなにを求めているんだ、と首を振る。あの日……初めて一緒に食事をしたあの日、彼はこう言った。
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