◆05. お隣さんは、いだいている。【伊織広大視点】

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◆05. お隣さんは、いだいている。【伊織広大視点】

 仕事柄、女性の肌に触れる機会は多い。メイクをしたことのない多くの女性に、メイクをする仕事をしているからだ。――しかし。  なんだろう、この感覚。触れるだけで胸の奥に電流が走る、あまやかな感覚。挙句、 「このままあなたに最後までされたい」  普通の男なら即オチだ。まったく、……ぼくがきみのお肌のお手入れをしているときものぼぜあがって……真っ白な頬が上気するさまが女神のように美しかった。きみは、ぼくの、女神。  セクシーな声も聞かされて。たまったもんじゃない。ぼくは――。  普通にきみを。 「……うん。分かった」そう答えるのがやっとだった。きみの肌に触れるぼくは、おかしな顔をしていやしないだろうか。不安だ。「せっかくだから、綺麗に整えてあげるね。お姫様」――ぼくの、お姫様。  長年この感覚を待っていたのだ。手放すわけにはいかない。それからぼくは、きみの肌に、化粧水、乳液を塗っていき、肌は、24時間つけたままでOKのすっぴんパウダーにした。白いきみの肌に映えるように。
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