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「今日の結愛ちゃんもすごく可愛いね。……そのニット、すごくよく似合っているよ」
てへへ。照れる自分をどうにかしたい。まったく……出会った瞬間からわたしは彼の虜だ。
寒くなってきたので、あまーい玉ねぎと溶き卵の入ったお味噌汁が実に染みる。五臓六腑に染み渡るぅ。うんま。はー。生き返るぅ……。
「ありがとう」とわたしは味噌汁を飲んでから微笑んだ。「せっかくだしイメチェンしようかなぁって思っていて……周りの反応も上々よ」
「そっか。よかった」と、わたしのグラスに麦茶を足してくれる伊織くんは、「……でも」と何故か寂しそうに言う。
「ぼくだけが知る結愛ちゃんがいなくなっちゃうのは、ほんのちょっと。寂しいけれどね」……なんですかこの青年。恋愛シミュレーションゲームの世界にいつ迷い込んだのわたし。そもそも、こんなイケメンがお隣さん、って時点で。
どうして。
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