◇01. お隣さんは、メシウマです。

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「あれぇー。もしもし?」明るい少年のような声がする。「いらっしゃいますかぁー。ぼく、507号室の伊織(いおり)って言います。いませんかー。……あれっ」  言ってわたしの玄関のドアを開いたひとは、わたしの姿を認めると、うわ大丈夫ですかっと跪いた。……いやいや。 「顔色も悪いし髪もぱさぱさだし……いったい、どうしたんですかっ」なかなか失礼なことを言ってくれるじゃないか。このイケメン。と、彼はわたしを抱き起こすと、「とにかく。なにか食うもん食って休んだほうがいいっすよ。……あぼく、お隣さんなんでちゃちゃっとなんかご飯作って持ってきます。……待っていてくださいっ」  やけに髪の茶色い、王子様みたいな青年がそう言う。……前髪にパーマがかかっていてサイドがシュッとしていて可愛いな。子犬みたい……。みたい。
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