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伊織くんみたいに完璧でなにもかも出来そうな男の子が、なんで、アラフォーのわたしなんかを。……年齢伝えたらドン引きされないだろうか。スーツ着てると結構年齢いってると思われがちなんだけどねえ。……しかし。
「伊織くんは……なんでこんなわたしを」
* * *
結婚が迫っている割には、住家を決めかねているらしい。小林くんから、ちょっと花見町気になっているんで、ガイドしてくれませんか、と頼まれた。別に断るほどにドライな間柄でもないし。……小林くんは、専務のお嬢さんと結婚されるわけだし、まぁね。きっと育ちのいいお嬢さんだろうから、治安の良さを求めるのは当然のことだ。
しかし。
マンションの前まで送って貰ったのには困ってしまった。……なんか、見る人が見れば勘違いされそう……と思っていた時に、視線を感じた。いや、気のせいだろうか? うえのほうから……そうだ、このエントランスは、ちょうど、伊織くんの住む部屋から見える角度になっている。……まさか、ね。
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