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『キャベツのこんな雑な切り方見たことねえぜ。……おかしいなぁ。女性って、普通もっと、料理とか、ちゃきちゃき作れるんじゃないの?』こちらが料理に手こずっていても手伝おうとせず、リビングでだらだらユーチューブを見ながらスマホいじっていて見向きもしない。こころが凍り付くあの感覚。恐怖。
……それに比べたら、伊織くんといると、まるで天国だ。勝手に、自販機で飲み物を買うみたいに、ウーバーみたいに、お料理が届いてきて……そんなのは。
当たり前じゃなかった……。
どうしよう。ちゃんと……わたし、伝えなきゃ。伊織くんに。全部全部。……でも。
重すぎる話になっちゃうよね。……嫌われるかな……どうしよう。
伊織くんのメッセージを見ていてもどう返したらいいものかアイデアが浮かばず。平常通り仕事を済ませ。ご飯は……カップラーメンでいいかなと。でも。伊織くんの部屋の前に立ち、インターホンを鳴らしたところ。
「あれぇ。……こうだーい。お客さんだよーめっちゃ美人さーん」
ショートカットの美人な女性がキャミソール姿で現れて、正直に、仰天した。
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