〇09. お隣さんが、心配性。【伊織姫香視点】

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〇09. お隣さんが、心配性。【伊織姫香視点】

 年の離れた兄は、よく、メイクさせてちょうだい、と言ってくる。兄はああ見えてアラフィフのインフルエンサーなので、若い女の子の感覚が知りたいそうな。  なまじっか顔が整いすぎているだけに。下手に、女の子を誘うと誤解される、それがいやなんだとか。――なわけで。あの美しいビジュアルを持て余したまま、淡々と日々を過ごしていたはずが。――はずが。 「ええ? お兄ちゃん、……す、好きなひと……出来たのっ!?」驚きの展開だった。あたしも、兄のことを尊敬しているから、いち視聴者として兄の動画は見ているが。最近忙しくてあまり、見れていなくって、気づかなかった。兄に眉毛を描かれながらあたしは、「うわわ。しっかもお隣さんって。うわうわ。……引っ越したばっかなのにやるねえ。お兄ちゃん」 「いやーその……」兄の表情はすぐれない。ピンときた。こんな兄に、惚れない女がいるはずがない。決まっている。「……微妙な関係のまま、告白だけしちまって。後悔している……」
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