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◇10. お隣さんに、夢中です。 R
「あの。……伊織くん……じゃなくって。広大くん」
わたしのために、ハーブティーを用意してくれた彼に、思い切って打ち明ける。「そのね。わたしも……好きなの」
しっかりと。彼の目を捉えた。もう――離さない。逃げない。この気持ちからも。
「わたしは、……広大くんのことを、愛している」
その唇は次の呼吸を許す間を与えられず、奪われていた。随分となまめかしく唇が動くのだなぁと、妙に、感心してしまう自分がいる。――広大。
「わたし、……好きなの。広大が……メイクをしてくれて、すっぴんメイクをしてくれたときも……。ううん」
わたしは、広大の大きな手で、頬を、挟み込まれるのを感じたまま、
「最初っから……好きだった。
一目惚れだったの。ごめんね」
* * *
あの、女の肌に電流を走らせる魔性の指先が、わたしのカーブを辿る。「……綺麗だ……結愛ちゃん」
そんな、切ない声を、出さないで。――ああ。
「……駄目。感じちゃう……」わたしは彼のはだかの胸を押した。しかしながら、彼に、抗う気配はない。微塵も。
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