◇10. お隣さんに、夢中です。 R

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「ああ、もう……」わたしは彼のはだかの胸を押した。心地よい、響きが、このなかにある。「最初から言ってよ。もう。わたしなんてバツイチの四十一歳よ。年のこと気にして……ああもう」言っていて急に、馬鹿らしくなってきた。年齢が、なんだというのだ。「わたし、……あなたのほうが、ずぅっと年下なんだと思って……気にしていたのに……嘘でしょう?」  確かに。二十代と見まごう美しいすべすべの美肌を持つ広大は、「年上過ぎるって打ち明けるとかえって気にさせちゃうかなぁと思っていて。難しいんだよね年齢って。下手に言うと壁作られるし……結愛ちゃんには、壁、作ってほしくなかったし……」  確かに。最初から、広大が、五十一歳だと聞いていたら。わたしの抱く、彼の、初対面の印象は、違ったであろうに。 「下手したら孫がいるかもな年齢だよね。……あごめん。年齢のことばっかぐちぐち言って……」 「いいのよ」と微笑む広大は、「年齢は、そのひとの歴史、なんだから。恥じることなんかないのさ。……ところで結愛ちゃん」  言って。広大は、わたしの頬を包み込むと、やさしく微笑み、
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