◇11. お隣さんの、虜です。

1/4

542人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ

◇11. お隣さんの、虜です。

「へーえ。愛妻ならぬ愛夫弁当ですかぁ」  ……小林くん。そもそもあなたが構うから、おかしなことになったんじゃない。恨みがましい目で見つめるが、彼のほうは、別段、気にする様子はない。さらりとスーツを本日もぱりっと着こなし、美味しそうですねえ、と目を細める。 「……噂になってますよ」と声を潜める。「あの、美魔女、白石結愛さまさまぁーに、かかか、彼氏がお出来になったんだとか……!!」  わざとらしく大袈裟に言うのやめれ。ふん、とわたしは鼻を鳴らし、「彼氏くらいいてもいいじゃない」と言ってのける。 「それより。……小林くんの結婚式のヘアメイクって、担当するの、うちの彼氏なのよ。……一応だけど、伝えておくわね?」 「おお。まじっすか」イケメンは鼻の穴を開いても綺麗だなぁ。とやけに感心する。小林くんも、頭をつんつんさせた、また、広大とは違ったタイプの、美男子ではある。「まじっすかー。……KODAIさんってバチクソ有名だからなっかなか予約とか取れなくって……まじで感激したんです。リハーサルんときもすんごい、完璧で……」
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

542人が本棚に入れています
本棚に追加