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◇11. お隣さんの、虜です。
「へーえ。愛妻ならぬ愛夫弁当ですかぁ」
……小林くん。そもそもあなたが構うから、おかしなことになったんじゃない。恨みがましい目で見つめるが、彼のほうは、別段、気にする様子はない。さらりとスーツを本日もぱりっと着こなし、美味しそうですねえ、と目を細める。
「……噂になってますよ」と声を潜める。「あの、美魔女、白石結愛さまさまぁーに、かかか、彼氏がお出来になったんだとか……!!」
わざとらしく大袈裟に言うのやめれ。ふん、とわたしは鼻を鳴らし、「彼氏くらいいてもいいじゃない」と言ってのける。
「それより。……小林くんの結婚式のヘアメイクって、担当するの、うちの彼氏なのよ。……一応だけど、伝えておくわね?」
「おお。まじっすか」イケメンは鼻の穴を開いても綺麗だなぁ。とやけに感心する。小林くんも、頭をつんつんさせた、また、広大とは違ったタイプの、美男子ではある。「まじっすかー。……KODAIさんってバチクソ有名だからなっかなか予約とか取れなくって……まじで感激したんです。リハーサルんときもすんごい、完璧で……」
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