◇12. お隣さんは、永遠です。

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 幸せになって、いいだな。許されているんだな。いままで……自分のことを、許せていなかったのかもしれない。ありがとう。広大。わたしに……こんな気持ちを教えてくれて。  タッパーから始まった関係だった。玄関先で倒れ込んだわたしを、迷わず、姫抱きにし、ベッドへと運んでくれた愛おしいひと。思えば、あの瞬間、この胸に恋という炎は宿った。そしてその炎は、わたしが生きている限り、消えうせることはない。絶対に。――永遠に。 「ありがとう結愛ちゃん。――愛している」  そ、と地面に下ろされる。小林くんご夫婦に頭を下げ、――何故かこの人通りの多い場所にリムジンがででんと用意され、笑って乗り込む。――おおう。リムジンのなかは、ドラマとかで見るみたいな景色だ。広くって……シャンパンをご用意頂いていた。ありがてえ。 「――行こうか。結愛」……気の早いことに。彼の手には、婚姻届が。……役所って夜間も開いているんだっけな。あ、そうだ。多分そうだった。「三文判も用意しているのでご心配なく」
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