◇12. お隣さんは、永遠です。

5/7
前へ
/64ページ
次へ
 入口で机をお借りして署名する。――捺印。そして。無事、婚姻届は受理された。……わたし、伊織結愛になりました。お隣さんは。わたしの隣に、永遠にいる存在となりました……!! 「えへへ。幸せ」 「だね」とわたしのむき出しの肩を抱き寄せる彼は、「コートとかないと。寒いよね。大丈夫?」言ってふわりと、上着を着せてくれた彼。荷物や上着とかは二次会の会場に置きっぱだ。そんなには気にならないくらいに、この展開に、魅了されていた。  そしてまたリムジンに戻り、次に向かう先は――。 「……いつの間に予約なんかしてたの」 「てへっ」笑う、少年かよ。アラフィフには到底見えないぞ。年齢詐欺め。「ふたりの記念日なんだから、スペシャルなところで過ごしたいなぁと思ってね……」  一流ホテルのスイートを予約していた広大。神。にしても思う。 「わたしがもし……プロポーズを断っていたら……どうなっていたの」  高層階から、満天の景色を見ながら、窓ガラスに指を滑らせながらわたしが言えば、
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

542人が本棚に入れています
本棚に追加