◇12. お隣さんは、永遠です。

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「簡単さ。……こうなるって分かっていたんだよ」そうして、わたしを抱き寄せ、迷わず、……あの日のように、ベッドへと運ぶ。ふっかふかなベッドの感触。にしても、髪に刺されたUピンが痛くてすこし笑った。「ごめん。……先に髪型崩して貰ってもいい?」 「勿論さ」続いては洗面所へと運ばれ、一本一本ピンを外され、――そのあとは、ドレスのファスナーを下ろされる。むきだしのうなじに、広大が、口づける。そのさまを、大きな鏡を通して、見ている。「……にしても。ぼくにやらせてくれず、他の男が結愛に触ったのって。なんか。妬けちゃうなぁ」  結婚式に合わせて元々美容室は予約していたので断れなかった。相手は、これまたイケメンの美容師さんなので、広大は、焼きもちをやいている。そんな、子どもっぽいところも広大の可愛いところだ。素直で――純粋で。 「でも。これからはずっと……広大のものだよ」と、後ろに手を伸ばし、彼の、やわらかな茶髪を撫でた。地毛らしい。「わたし。あなた以外の男になんか興味がないの。……わたしを、あなたで、いっぱいにして」 「……結愛ちゃん」
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