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……そんなことは。人生で言われたのは初めてだ。なんだか照れくささを覚えながらもどうにか飲んでいく。――冷たい。……ああ。
生き返る……。
トイレに行く暇すら惜しいので会社ではあまり水分をとらない。なので。お水が美味しすぎる……。
「あ、顔色ちょっとましになった」と微笑むイケメン。隣人。「よかったぁ。結愛ちゃんになんかあったらと思ったらぼく心配で……」いや、待て待て。それは、彼氏の言う台詞ではないのか。――初対面で、結愛ちゃん、……だと?
なん、だと……?
「あ。ぼくのことは広大でいいからね」と微笑む青年。よくない。「それじゃ、今度こそぼくは美味しいごはんをここに持ってくるから。鍵は開けたままにしておくけど大丈夫だよね?」
選択の余地があるとは思えない。「大丈夫、……です」
「ふふ。結愛ちゃん」と青年はなんと。わたしの鼻の頭を指先でつつくと、「食べ物のこと聞いたら目ぇきらきらさせちゃって。ほんっと可愛い。待っててね? ……あ、好き嫌いとかアレルギーとかある?」
「いや、全然……」
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