◆13. お隣さんが、大好きです。【伊織広大視点】【最終話】

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 三日分の食料を買い込み、両手が塞がった。……車でもあれば便利かな、なんて思う。激安スーパーに車で買い出しに行くひとは多い。ドライブデートなんかきみは喜んでくれるだろうか。ペーパードライバーだけれど、練習すればなんとかなるだろうか。……よし。なんとかしよう。  明日も。明後日も。ずっとずっと……一緒の未来が、広がっている。ぼくたちの未来が。永遠に続くものではないけれど、終わりのことなんか考えられないくらいに、ぼくたちは幸せだ。……そうだ。  おでんなんかもいいなぁ。あったかいおこたでぬっくぬく。足を絡ませてたっぷり……美味しいご飯を食べよう。  帰ったらご飯を炊いて、お風呂を沸かそう。それから、きみからのメッセがないかをチェックしよう。  柄にもなくこころが弾む。……そんな恋愛なんて、するつもりはなかったのに。ずっと、ひとりなんだろう、って思って生きて来たのに……いつの間にか、ぼくの人生に、きみという太陽が入り込んだ。もう。きみなしでは生きていけない。  食事の支度をしているときみからのメッセが届いた。『お疲れ様。いまから帰ります』
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