◆13. お隣さんが、大好きです。【伊織広大視点】【最終話】

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「ふふっ」笑みがこぼれる。……メッセでも普段からも、丁寧な言葉遣いをするきみが、大好きだ。言葉というものにはそのひとの品性が宿っている。すさんだ言葉を使うひとのこころはすさんでいる。きみにふさわしいように。きみに、ずっと、惚れて貰えるように。いつも、……綺麗な自分でいたい。  自分のこころのなかの、透明で透き通った、子どもみたいな部分を、取り残しておきたい。いつか――きみに見せるために。清らかな自分でいられるように。そして。  欲の塊だなぁ……、なんて思う。こうして、ひとり、ご飯を作っているとき。紛れもなく、ぼくは、どん欲だ。きみを満足させることにおいて。  手羽元の煮物はこってりしてるから副菜はさっぱりしたレタスのチョレギサラダにした。葱もちゃぁんと千切りにして。きみは、千切りが苦手みたいだけれど、それは、ぼくができるから、いいんだよ。……無理なんかしなくたって。  料理が完成してすこし経ち、ソファーにてミルクを飲んでいるときみが帰ってきた。「ただいまぁー」と嬉しそうに。 「ハーゲンのアイス買ってきた。……ね。抹茶と、クッキーアンドクリーム、広大はどっちがいい?」
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