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「じゃあ、なんでも食べ放題だねっるんるんっ」鼻歌を歌いながら立ち上がる青年。さっきから一体なんなのだ。どんなドッキリをわたしは仕掛けられている。赤の他人がこんなにも――よくしてくれるだなんて。
青年は去り際、やたらと長い手足を弄ぶようにしながら進むと振り返り、「……あ。作り置きもあるけど許してね? 待ってて。三十分で戻ってくるから」――実際。この青年は。
キッチリ三十分かけて戻ってきた。いろんなタッパーを手に。……見るだけで分かる。美味しそうなものが詰められているのが。
青年はやたらとでかいタッパーを顔の両サイドで持ち、にっこりと笑った。「どうする? 結愛ちゃん。なにから食べたい?」
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