◇02. お隣さんの、ハグ。

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◇02. お隣さんの、ハグ。

 ハンバーグを嫌いな人間なんて全人類を探して果たして存在するのだろうか。――否。    わたしだけは、必ず。  絶対に、なんて言葉を絶対に信じないはずのわたしが、…… 「んふっうんまっ」悶える。噛むと、ジューシーな肉汁があふれだし、濃密な肉と飴色あまーい玉ねぎとの風味が相まって。超絶美味。挙句味付けはデミグラスソース・手作りと来た。そろそろこの男は、本格的に、わたしを落とすつもりではないのか、と勘違いしたくなるような美味さだ。 「あぁあーーっうんまっ」ごくん、と飲み込むが飲み込むのさえ勿体ない。口の中で広がる超絶美味の余韻。水など勿論この時点で飲めるはずがない。「……生き返った……半端なく美味い……」 「ひひ。出来たてだからね。ほんじゃ、ぼくも、いただきまーす」……このイケメンは。わたしが、ちゃんと、一口食べるのを待ってから食べるんだ。じーんと来た。すると青年は目を見開き、うんまっ、と口にする。 「おーハンバーグなんてひっさびさだから超自信なかったよ。んでも。まぁまぁいい出来栄えでよかった」
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