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何気なく降りた駅で私は人を探した。
「ここだといいけど……」
知らない町にいると、友人が言った。
名前も聞いたことのない町。
きっと、線路をいくら電車で走っても見つからない。
地図にも載っていない。
いつだったか、たった一人の友人が家出をした。
学校にも通わなくなった。
心配した友人の両親は、仲が良かった私に探してほしいと言った。
知らない町。
知らない通行人。
知らない店。
知らない空気。
ここは異界だろうか?
それらが、私をことのほか心細くさせる。
イチかバチかの賭けになっていた。
この町には友人の好きそうな桜だけが植えてあった。
ソメイヨシノ。
それは、千本もの桜が植えてある町。
あの人は桜が好きだった。
通行人にそこの公園についてやっとのことで聞くと、付近では夜桜公園とも呼ばれているんだそうだ。
「その名の通りに夜桜がとても綺麗なんだ」
「そう。もう少しだけ、探そう」
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