バラ色の頬

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にっこり笑う。 優しい眼差し、柔らかい口調、愛らしい仕草で、甘い言葉を囁くように口にする。 あぁ詐欺師め。 わかっていても抗えない。まんまとその手をとって胸におさまる。すっぽり。そこが最初から、生まれたときからわたしを待っていたかのような居心地で、すっぽりおさまる。 「嬉しい」 世界で一番しあわせな女の子の顔をして、バラ色の頬であなたを見上げる。 わたしだけの詐欺師を。 わたしだけの詐欺師にしたくて、あなたに負けじと甘い顔をする。うっとりと、瞳潤ませて、背伸びをしながら顔を近づける。 あなたはどんな子が好きなの? いつも違うタイプの子が隣にいても気にしないふりして、わたしが一番だからと言ってくれるあなたの言葉を信じて、にっこり頷く。 あなたの前では。 あなたの声のする場所では。 あなたの温もりを感じている間は。 今日もあなたの隣には、わたしとは違うタイプの女の子がいて、わたしの右手はあなたを求めてる。
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