ありったけの愛で

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「省吾…今の人がナンパしてきた5年生の三島先輩。省吾の名前を知ってたでしょ」    5年生…4つ以上年上か。どうりで。    静流は荷物を持っていない方の、俺の左腕を掴んだ。思わず心臓がドキンとする。   「ごめん、先輩がまだ見てるの。疑ってるのかな」    疑ってる…?冗談じゃない!!  俺の静流だぞ!勝手に手ェ出すな!!   「静流、もっとちゃんと俺の腕につかまって」 「え?」 「ちゃんと腕組もう。静流が嫌じゃなかったら」    こうなりゃ見せつけてやる、静流は俺のだって事。    彼氏のフリなんかじゃない。俺は本気だから。   「うん」    静流はにこっと笑って、本当に嬉しそうに俺の腕を両腕で抱きしめてくれた。      それから俺の家に着くまで、俺たちはずっと腕を組んだままで。    流石にこんな所にまで先輩が追ってきていないのはもうわかっていたのだけれど、静流は何も言わないし。    半袖の素肌の腕から伝わる静流の柔らかさが本当もう、ヤバいくらいドキドキもので…    やっぱり俺、絶対静流を失いたくない。    友達でもなんでもいいから、ずっと傍に居て欲しい。    今は、これでいいから…
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