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秘密
「ねぇねぇ…この服かわいいかな?」
「うん、ミヅキにピッタリだよ!」
さっきのデートで買った
上下ピンク色のモコモコした
パジャマ姿を
彼氏のタクロウに
はしゃぎながら自慢する。
「さて…先シャワー浴びるね」
2人がけのソファから重い腰を上げ
浴室に向かうタクロウ。
「いつも可愛いな」
次の瞬間
私の頭に手を置き
ポンッと
スキンシップしてくれた。
不意の愛情表現に
ミヅキは思わず頬を赤らめる。
タクロウは頭を優しく叩いてから
浴室に向かったが
私は
急な出来事に
心臓の鼓動が止まらず
その場で立ち尽くしてしまうくらい
彼氏の優しさに
胸きゅんしてしまった。
「ブー…ブー…」
私が恥ずかしさと嬉しさの合間で
蒸発していると
ソファの前にある
タクロウのスマホから音が鳴った。
どうやらその音は
短く途絶えているので
電話では無さそうだ。
浴室でシャワーを浴びている
タクロウに急を要して
スマホを渡す必要が無いと
考えていると
「ブー…ブー…」
またメールの通知が届く。
それも今回は何度も音が聞こえる。
一体なんの連絡なんだろう?
好奇心がミヅキの中で芽生える。
だが反面、私の中の理性が
【許可を取らずスマホを見るのは良くない】
と私を戒める。
でも私の彼氏だもん。
もっと彼の事を知りたい!
怒られてもいいから覗いちゃえ!
天使に悪魔が勝った瞬間だ。
ミヅキは
まるで欲しいおもちゃを手に取る
無垢な子供のように
タクロウのスマホを
その手のひらに収め
画面を覗く。
「なに…?これ…?」
画面に表示された
通知メッセージに
絶句する。
「何してんだ?ミヅキ」
この言葉を皮切りに
私は愛の巣を慌てて飛び出し
その場から逃げ出した。
タクロウとの
恋愛関係が終わった瞬間だった。
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