同棲

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同棲

その後の私達は お互いの家にも行き来する深い関係性になり とうとう 同棲するまでになり 互いの愛の巣を創り出した。 同棲といっても 新居を借りる訳ではなく タクロウさんの住んでいたマンションに 私が住み着く形だ。 一緒に生活するスタートしても 互いに対する 尊敬と感謝は忘れておらず 喧嘩することもなく 平和な同棲生活が続いて この先は結婚も…と 私は考えていた。 でも…その考えは タクロウさんのスマホを覗いて 儚く散りゆくものとなった。 事件が起こった日は 同棲が始まって3年目のことだった… 流石に3年目となると お互いのことを下の名前で呼びあっており 「ミヅキ、行ってくるね」 「行ってらっしゃい、タクロウの好きな夕飯 作って待ってるね」 と平日は送り出すのが日課となって 1日がスタートする。 休日は2人で一緒に アウトレットやショッピングに出掛けることが日課となっていた。 あの日も…その買い物の帰りだった。 タクロウに選んでもらった モコモコパジャマが入った 紙袋を片手に 「今日の夕飯は何がいい?」 「ハンバーグがいいな」 「先週もハンバーグじゃん!」 「好きだからしょうがないだろ」 そんな軽く笑える事を話しながら 肩を寄せあって 自宅へと足を進めた。 家に着くと時刻はすっかり6時を過ぎており 外は暗くなるほど 夜の雰囲気を醸し出している。 タクロウは2人がけのソファに腰を置き 私は 今日買ってもらった モコモコのパジャマを実際に お披露目すべく 寝室に入って 新パジャマへと 変身を遂げていた。 早く!早く!タクロウに見せたい! 逸る胸を抑えるのに必死でしょうがなかった。
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