別れた理由

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とりあえず仕事に集中しよう。昨夜、泣いたせいか、少しだけ自分の気持ちと折りあいがつけられそうになっていた。 あの後、私の気持ちを気にかけてくれていたのか、結衣花が飲みに誘ってくれた。連れて行かれたお店では手相も見てくれるという。「なんかいろいろ私も勘違いしてたみたいで、その、何というか、ゴメンね」ということで、今夜は奢ってくれるらしい。今夜は素直に奢られてしまおう。ラッキーっていうことで。 「彼女の恋愛運を見て欲しいんです」 お店に入ると、私が何か言う前に占い師のテーブルへと迷うことなく連れて行かれた。そして占い師さんに、私の現在の最大の懸案事項と思われる内容をさっさとリクエストしてくれたのだ。 私の手相をじっと見つめた後、その占い師さんは一言だけ「あなたには近々、運命の出会いが待っています。彼とは長い付き合いになる。結婚するかもしれませんね」とだけ告げてくれた。 「よかったねぇ」 ホッとしたように結衣花が言う。 まぁ、運命の出会いじゃなくても、誰かにまだ巡り会えるチャンスがあるっていうなら、それを待ってみてもいいかなぁと、ちょっとだけ期待してみることにした。期待するくらいいいよね?それだけのことなのに、溜まっていた心の(おり)が少しだけ軽くなるような気がしていた。
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