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考えてみて欲しい。貴方は『名優』と聞いて、誰を思い浮かべるだろうか。
世界中どの国にも『名優』は存在している。無論、男優や女優という区別もされるが、役を演じるという点において、それは才能であり、または努力の結実であり、映像作品として物語を動かすために必要なパーツであるとも言える。
空前のヒットとなった名画がある。地方の集会所で人気のC級映画もある。そこに映画がある限り、主役・脇役を問わず、役者は必ずそこにいる。
今さら言うことではないが、多くの場合、役者は人間だ。美貌の者、美貌とは程遠い者、他ジャンルから転身した者、本業と両立させている者、個々の背景は様々だが、役者を一つの視点で区分けしたとき、『下積みしたか』と『そうでないか』に分かれるのではないかと思う。
いきなり主役を掴んだ者がいる反面、何十年も地方演劇で名も無き端役しか得られない者もいる。これは芸能や芸術全般に言えることで、鮮烈なデビューを飾った者ほど印象が強く、長い下積みの末に花開いた者はやはり印象が薄めのように感じる。だが『味わい』という一点に絞れば、下積み経験者には主役を完全に食ってしまう強みがある。容姿や事務所力学に左右されない本物の実力は、辛苦の末にこそ得られた独特な個性であり、如何様な役柄であっても演じこなす七色の花になっているのかも知れない。
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