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最終兵器メカ・
ジャイアントヘッド
俺の名前は吉田一政(よしだかずまさ)、ある朝目覚めると世の中から人類が消え去っていた。
それだけでも理解しがたい現実なのにもかかわらず、俺の頭の中には、今までの人生で経験しうるはずのない記憶が支配していた。
世の中が終わったような情景を目の当たりにして、きっと脳が自然と、荒唐無稽な妄想を作り出して防御反応を起こしているのだ、最初はそう思っていた。
あの男と出会うまでは。
泉谷清司朗(いずみやきよしろう)と出会ったのは、俺が人の気配を求め、横須賀中央駅近くを彷徨っていたときだった。
清司朗はトランペット吹きの銅像が座るベンチで、トランペット吹きの親父に肩車されるように座り、項垂れていた。
俺は恐る恐る「アンタ」と、ただそれだの言葉を、振り絞るように投げかけた。
「ん?」
清司朗は別段驚いた様子もなく、俺を見てただ会釈をした。
それだけの仕草で俺は、清司朗が「横に座れば」と言ったように感じ、自然と清司朗の横に腰をかけていた。
それからどちらともなく、自分の中にある違和感しかない記憶の話をし始めた。
二人の中にある記憶についての話は、まるですり合わせたかのように全てが一致していて、実にリアルな、であるが非現実的な物であった。
つまりそれまで何の接点もなかった二人の脳内に、全く同じ記憶が入り込んでいたのだ。
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