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執事と恋心
「こちらが、五十嵐さんの部屋です」
その後、一通りの説明を終え、屋敷を案内されたレオは、別館にある空き部屋に通されていた。
お嬢様がいる本館とは別に建てられた、二階建てのこの別館は、使用人専用の屋敷だ。
20帖ほどの部屋の中には、既にベッドや冷蔵庫などの生活必需品が完備されており、召使いの部屋にしては中々に広く、とても綺麗な部屋だった。
「トイレは完備されています。お風呂は、男性寮共同の物を使って下さい。食事は、まかないが出ますので、所定の時間に他の使用人達と一緒に摂っていただきます。必要のない日は、事前にシェフの冨樫にお伝えください。他に何か、ご質問はございますか?」
「食事は、使用人だけでいただくのですか?」
「はい。朝食の後に朝礼も行いますので」
「そうですか……では、お嬢様は、いつもお一人でお食事を?」
「そうですが。それが、なにか?」
「いえ、旦那様も奥様も、あまりこの屋敷にお立ち寄りにはならないと、お聞きしたもので」
「そうですが。だからと言って、使用人が、主と共に食事をとるなど」
「そうですね……失礼。少し気になっただけです」
ニッコリ笑いかけると、レオは、その後、部屋の奥へと進み、持参したトランクを机の上に置く。
「五十嵐さんは、二十歳とお聞きしていますが」
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