新聞部活動日誌① 味覚音痴(コーヒー研究会)

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「失礼します。あれ、部長、何飲んでいるのですか」 「コーヒー」 「珍しいですね。いつもはお茶かジュースなのに」 「さっき、コーヒー研究会の部員が来て、御裾分けしてくれたのだ」 コーヒー研究会とは、この学校の部活の中でも割と最近に出来た類のものだ。 確か、創設されて、二年くらいだった筈。 「いいですね。僕の分もありますか」 「おう。魔法瓶の中に入っているから、まだ温かいぞ」 「やった」 新入記者は、早速、ポットの中にあるコーヒーをコーヒーカップへと移した。そのままの味を楽しむために、ミルクと砂糖は入れなかった。 火傷しないように気を付けながら、飲んだ。 「あれ、結構美味しい」 コーヒーの苦みと甘みが良い感じにブレンドされており、程よい喉越しだった。 「上手いですね、部長」 「そうだろ。ただ、美味しいだけではなく、どこか懐かしい味がする」 「本当にそうです」 そう言いながら、二人はあっという間に魔法瓶の中身を飲んでしまった。 「さて、魔法瓶を返すついでに取材を頼む」 「コーヒーのですか」 「そうだ。コーヒーの味の秘密について切り込む。今週号はそれで決まり」 「分かりました」 新入記者は、魔法瓶とメモ帳片手にコーヒー研究会の部室へと向かった。  
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