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「失礼します。あれ、部長、何飲んでいるのですか」
「コーヒー」
「珍しいですね。いつもはお茶かジュースなのに」
「さっき、コーヒー研究会の部員が来て、御裾分けしてくれたのだ」
コーヒー研究会とは、この学校の部活の中でも割と最近に出来た類のものだ。
確か、創設されて、二年くらいだった筈。
「いいですね。僕の分もありますか」
「おう。魔法瓶の中に入っているから、まだ温かいぞ」
「やった」
新入記者は、早速、ポットの中にあるコーヒーをコーヒーカップへと移した。そのままの味を楽しむために、ミルクと砂糖は入れなかった。
火傷しないように気を付けながら、飲んだ。
「あれ、結構美味しい」
コーヒーの苦みと甘みが良い感じにブレンドされており、程よい喉越しだった。
「上手いですね、部長」
「そうだろ。ただ、美味しいだけではなく、どこか懐かしい味がする」
「本当にそうです」
そう言いながら、二人はあっという間に魔法瓶の中身を飲んでしまった。
「さて、魔法瓶を返すついでに取材を頼む」
「コーヒーのですか」
「そうだ。コーヒーの味の秘密について切り込む。今週号はそれで決まり」
「分かりました」
新入記者は、魔法瓶とメモ帳片手にコーヒー研究会の部室へと向かった。
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