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「それで、ゲームに負けたあなたがここに来たわけね。新入記者君? 」
「はい。何かすみません」
あの後、ゲームに負けた新入記者は即刻アポイントメントを取り、治療室に訪れた。
「ほほほ。良いのよ。言われ慣れているし」
「ありがとうございます。それでは、早速、取材に移らせていただきます」
「はい。どうぞ」
「例の病って一体」
「そうね。色々名称はあるけれども、とにかく実際に見ていただこうかしら」
「それと言うと、来るのですか、生徒が」
「ええ。多い時には十人くらい」
「そんなにですか」
「中々突破口は見えないけれども、最善を尽くしているわ」
「ご苦労様です」
すると、部室の扉がけたたましく鳴り響いた。
「な、なんですか」
「噂をすれば、何とやら。落ち着いて、扉を壊さないでね」
その声で、一旦音は止んだ。
「はい。では、一人ずつ、お話を伺います」
ゆっくりと、扉を開けた先には、異形の集団がいた。
「先生。俺の魔眼がコントロール不能に陥っています」
「先生。俺のサンダーフォースが壊れかけています」
「あたしの新しい黒魔法、見て下さい」
「私の中にあるもう一人の人格、アビスが私を乗っ取りにかかっています」
「儂のトロールが行方不明だ。探してくれ」
漫画やアニメに出て来そうなコスチュームを着て、アイテムを装着している生徒たち。
しかも、最後の男性に至っては、生徒指導の先生だった。
ああ、そうか。
これは、あれだ。
あの病だ。
「はいはい、分かりました。皆さん落ち着いて。一人ずつ、お話を伺います。だから、椅子に座りましょう」
実に落ち着いた対応だった。さすが、あの病気の対応を任されているのだから、常識人なのだろう。
すると、立ち上がったその時、彼女のスカートのポケットから白い手帳が落ちた。
タイトルには『わたしがかんがえたさいきょうのエクソシスト』と書かれていた。
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