新聞部活動日誌② 例の病(放課後相談室)

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「それで、ゲームに負けたあなたがここに来たわけね。新入記者君? 」 「はい。何かすみません」 あの後、ゲームに負けた新入記者は即刻アポイントメントを取り、治療室に訪れた。 「ほほほ。良いのよ。言われ慣れているし」 「ありがとうございます。それでは、早速、取材に移らせていただきます」 「はい。どうぞ」 「例の病って一体」 「そうね。色々名称はあるけれども、とにかく実際に見ていただこうかしら」 「それと言うと、来るのですか、生徒が」 「ええ。多い時には十人くらい」 「そんなにですか」 「中々突破口は見えないけれども、最善を尽くしているわ」 「ご苦労様です」  すると、部室の扉がけたたましく鳴り響いた。 「な、なんですか」 「噂をすれば、何とやら。落ち着いて、扉を壊さないでね」 その声で、一旦音は止んだ。 「はい。では、一人ずつ、お話を伺います」  ゆっくりと、扉を開けた先には、異形の集団がいた。 「先生。俺の魔眼がコントロール不能に陥っています」 「先生。俺のサンダーフォースが壊れかけています」 「あたしの新しい黒魔法、見て下さい」 「私の中にあるもう一人の人格、アビスが私を乗っ取りにかかっています」 「儂のトロールが行方不明だ。探してくれ」  漫画やアニメに出て来そうなコスチュームを着て、アイテムを装着している生徒たち。 しかも、最後の男性に至っては、生徒指導の先生だった。 ああ、そうか。 これは、あれだ。 あの病だ。 「はいはい、分かりました。皆さん落ち着いて。一人ずつ、お話を伺います。だから、椅子に座りましょう」 実に落ち着いた対応だった。さすが、あの病気の対応を任されているのだから、常識人なのだろう。 すると、立ち上がったその時、彼女のスカートのポケットから白い手帳が落ちた。 タイトルには『わたしがかんがえたさいきょうのエクソシスト』と書かれていた。
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