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少し急ぎ足で歩き職場のコールセンターがあるビルに辿り着いた。
そして、エレベーターに乗ろうと並んでいると、ぽんぽんと肩を叩かれた。振り返ると真由香が立っていた。
「おはよう~亜沙美ちゃん。今日のお昼が楽しみだね」
「おはよう~真由香ちゃん。ってお昼って……今から仕事なんだけど」
「あはは、だって、楽しいことを考えると嫌な仕事も我慢できるでしょ」
真由香はそう言ってにっこりと笑った。
「うん、そうだね。真由香の言う通りかもね」
わたしもにっこりと笑ってみせた。
真由香は中学、高校時代からの同級生なのだけど偶然このコールセンターで再会したのだった。
「ねえ、亜沙美ちゃん、それでねお昼なんだけど美味しそうな定食屋さんのチラシをもらったんだよ。見てみて」
「定食屋さん。どれどれ?」
わたしは真由香に差し出されたそのチラシを見て驚愕した。
「そ、それは……」
「ん? このチラシがどうかしたの?」
「うんうんなんでもないよ」
そう答えながらも再度そのチラシに目を落とすとゾクゾクして震えてしまった。
だって、その定食屋はオレンジ色の提灯にオレンジ色の暖簾がかけられていたのだから。
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