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仕事中もオレンジ色の提灯と暖簾が気になって仕方がなかった。
「お電話ありがとうございます」と電話対応している時にもオレンジ色の提灯が頭の中に浮かんでは消える。
あのリアルな夢と先ほど真由香に見せられたチラシが交互に浮かぶ。
ダメダメ仕事に集中しなくてはとわたしは頭の中を占領している嫌な思いを追い払おうと頭をぶんぶん振る。
『あのすみません』と電話口から声がした。
わたしは慌てて、「はい、申し訳ございません。ご注文をお願いします」と返事をした。
いけない、電話対応中だったことを忘れてしまうほどオレンジ色の提灯が頭の中を占領するなんて。
『ふわふわ猫のマグカップ、カラーはオレンジ色をお願いします』
「えっ! オレンジ色!!」
わたしは、オレンジ色にドキッとしてしまい思わず声を上げてしまった。
『あのどうされたんですか?』
「申し訳ございません。失礼致しました。ふわふわ猫のマグカップ、カラーはオレンジ色でございますね」
となんとか復唱したけれど、心臓がドキドキして心拍数が上がる。キーボードを打つわたしの手も震えているのだった。
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